2024 2月 こどものくにだより 園長 北野暢隆
「這えば立て、立てば、歩めの親心」と昔から、よく聞く言葉です。子の成長を楽しみに待ちかねている親心を表した言葉です。でも、その子育て過程で、何かと失敗させないようにお膳立てされてしまうご家庭がよくあると言われています。
先月ご紹介させていただいた、「大ピンチずかん」には、様々なピンチに出くわし、失敗を経験する姿があります。また、立ち止まり、どうすればこのピンチを逃れられるのか、考え、成長する姿をご覧いただけるのではないでしょうか。
その「大ピンチずかん」には、こんな一言が添えられています。
「もう何時ピンチが来ても大丈夫だ!」
これには、「経験しなくてもこの本にかかれていることさえ注意しておけば、知識があれば、ピンチに遭遇することはないよ。」と伝えようとしているようですが、それは、おとなが、「これをしなさい。」「それはしてはダメ。」とこどもたちに指示を出し、こどもに考える隙を与えないのと同じような気がします。
「大ピンチずかん」の表紙に描かれている牛乳をコップに注いでいる絵を頭に想像してください。小さなこどもは、持った牛乳パックのバランスの悪さ、そして、その重たさを、しっかりと感じ取っているはずです。また、コップに牛乳を注ぎ始め、あと少しで飲めるぞという思いの中、コップから見る見る真っ白な牛乳が溢れ出してしまう映像は視覚からしっかりと脳に焼き付けられているはずです。
更に、事態は悪化します。コップからあふれた牛乳をもったいないからと、口を近づけ飲もうとすると、テーブルに近づけた頭が牛乳が溢れそうなコップにあたり、今度は、テーブル一面牛乳だらけにしてしまいます。もはや、大大ピンチです。
一面に広がる牛乳の匂いは、嗅覚を通して、その画像は、視覚を通して脳に刻み込まれます。頭にあたったコップの感触、コップのカタンと倒れる音も忘れることはできないはずです。
こどもたちに大切なことは、何よりも経験です。五感をフルに使って得た、脳に刻み込まれた記憶がこどもたちの成長を促してくれます。
「何がいけなかったのか?」五感から得られた情報が、こどもたちの脳に経験値として、どんどん蓄積されていきます。
経験値と言えば、主人公が、最初、弱い敵と戦いながら、経験値を上げていく。そして、レベルアップを図りながら、キャラクターの攻撃力、防御力などのステイタスを上げていき、最後は、敵の大ボスを倒すという、保護者の皆さんも昔、一度はやったことのあるロールプレイングゲームとまさに同じことが言えるのではないでしょうか。
何よりも、失敗を繰り返しながら、体験数をふやして、経験値を高めることです。おとなもこどもも同じです。
2月の予定
2日(金) 豆まき
28日(水) 避難訓練