2021 11月 こどものくにだより 園長 北野暢隆
私がまだ小さかったころ、当時の同世代の子どもたちは、こんなお話をたびたび両親から、聞かされてきたはずです。
「戦時中は大変だった。それは、勉強することはもちろんのこと、食べることも、仕事もできなかった、命がけだった。」それは、苦労が足りなさすぎることを責められているようでもありました。
今を生きている皆さんは、もう決して卑下することはありません。“コロナ”の時代を生きてきたのですから。そして、耐えてきた、その経験を誇らしげに次の世代に伝えられる権利を獲得したのですから、堂々と胸を張って、これからの難局も乗り越えられると思います。
ただ、一点、昔と今が違うのは、経済的な豊かさではないでしょうか。
当時は、今と比べ物にならないくらい生活が苦しい家庭がほとんでした。
先日、そんな時代を生きてきた同年代の人の回顧録を目にしました。それには、小学生のころ友達が当時はやりのスポーツ自転車を乗っていたが、自分は、友達と同じように両親にせがんで、買ってもらうことはできなかったと回顧されています。そこまでは、私の幼少期と同じですが、その人の違うところは、両親に相談して当時、よく目にしたこどもの新聞配達によって、欲しかった自転車を手に入れられたようです。
でも、目的を果たしたからと、アルバイトをやめられたわけではなさそうです。毎日の早朝からの仕事にも面白さを感じ取れるようになり、目標を持ちそれに近づく喜びを体験できたと、そして、それが、その後の生活にも大きく役立ったことが書かれていました。
今の世の中、ご両親が働かれているという負い目があるのでしょうか、子どもたちも食べたいものも欲しいものも、割とすんなりと手に入れられることが多いような気がします。
何か欲しものがあれば、目標を持たせ、お手伝いをしてもらうことで、獲得することができるなら、ものの価値も徐々にわかってこられるでしょうし、家族の一員としての自覚やみんなの役に立っているという自負が芽生えることにつながります。
もう半年で、進学されるゆり組さんはもちろんこと、さくら組さんもしっかりと大人の話も聞け、少しずつ意思を伝えられるようになってきています。
「お手伝いなんて、手がかかるだけ、今は無理!」と思われるかもしれませんが、子どもの能力は、大人が想像している以上のものがあります。
「最初に手を抜けば、後で手がかかる」何にでもいえることです。
小さなことから、始められてはいかがでしょうか。
11月の予定
5日(金) 人形劇
8日(月) 内科検診
19日(金) お誕生日会