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2024年4月園長だより

2024 4月 こどものくにだより  園長 北野暢隆
 今から2000年以上前のヨーロッパのある国で行われたお話です。
 50人以上の赤ん坊を一か所に集め、おしめの取り換えやミルクを与えるという、栄養面と衛生面には十分な配慮をした上で、育児実験が始まりました。
ただ、育児と言っても、それ以上は、一切、手を掛けないで育児をするとのことでした。
たとえば、泣いても抱っこしてはいけない。のぞき込んで、表情を見せたり、話しかけたりしてもいけないという極度の条件の下で人体実験が進められたようです。
その結果は、非常に残酷な話ですが、生まれて2年ほどで半数が、成人になるまでに残りの8割が、死んでしまったそうです。また、残りの2割の人たちには、何らかの精神疾患が見られたということです。
哺乳類は、生まれて、すぐに立ち上がり、身を守る行動をとりはじめます。でも、人間だけは、どうもそういうわけにはいかないようです。お腹が減ったり、おしめが濡れてきたりすると、気持ち悪がって、泣くという行動に出ます。それに対して、保護者の皆さんが、欲求を満たすことはできますが、こどもたちの成長に加えて必要なことは、暖かい言葉かけや表情だったり、肌を接することによる十分なスキンシップを図ったりする、それは、言い換えると、精神的な栄養素ともいえる「愛情」表現なのです。
人間が持つ五感の割合は、視覚が80%を超えると言われていますが、例えば、勉強も視覚だけでは、とてもすべてが頭には入ってこなかったはずです。ペンを持ち書くという行為、声を出して聞くという行為、時には、匂いを嗅いだり、味見をしたりするなどによって、脳へ記憶をさせてきたことを思い出して欲しいと思います。
こどもたちの成長には、五感を通して脳への情報の刷り込みがよりスムーズに行えるように、限りなく暖かい環境が大事だということです。
1歳児クラスへご入園の園児たちも、日増しに保育園生活に慣れてくると、言葉や行動に成長が見られるようになります。それは、日ごろのご家庭での、ご両親が使われている言葉や日常生活の行動を観察し記憶されていることがよくわかりますが、それは、穏やかな環境の中で、脳へ良好な状態で情報が送り込まれている結果だと思われます。
反対に成長が明らかに阻害されるケースがあります。
いわゆる、虐待と言われることです。こどもの前で夫婦喧嘩をしたり、こどもを大きな声で叱ったり、感情にまかせて怒ったりすることによって、こどもたちの脳は、大きく変形します。ひどい場合だと、元に戻らない状態に至ります。とても知識を記憶する状態として、良好であるとは言えません。こどもたちの将来のことをお考えになるなら、何よりもこどもたちを取り巻く環境を整えてあげることを最優先に考えていただくようにお願いいたします。

4月の予定
1日(月) 入園式
23日(火) ゆり組遠足

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